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【論文紹介】VYPERの研究|ドクターエアのストレッチロールより優れていると言えるか?

以前、記事にしましたが、VYPERのHPに「VYPERに関する科学的根拠があるデータが得られた」と書いてあります。しかし、HPのプレスリリースには要約しか載っていません。(要約については関連記事を参照)

VYPER
HYPERICE社の振動機能付きフォームローラーVYPERは他社製品より優れているか?

そこで、HYPERICE JAPANを運営する株式会社ノースランに問い合わせをし、英語論文のフルテキストを入手しました。

内容を確認するにあたっての、焦点としては

  • 「VYPERは他社製品より優れている」と言える根拠が示されているか
  • 可動域が最大40%増加した、というのは具体的にどういうことか

です。

今回の研究は、筆頭著者のDanielle Enrique氏が修士課程で行ったもので、Journal of Strength and Conditoing Researchに受理されたようです。

THE INFLUENCE OF LOCAL MUSCLE VIBRATION DURING FOAM ROLLING ON RANGE OF MOTION AND PAIN

Danielle Enrique, ATC, Timothy Mauntel, MA, ATC, Brian Pietrosimone, PhD, ATC, Micheal Clark, DPT, Darin Padua, PhD, ATC

目的

振動機能付きのフォームローラーと標準のフォームローラーが、足関節の背屈可動域と痛みに与える影響を比較すること。また、フォームローラー実施後の静的ストレッチの効果についても検討することを目的とした。

実験デザインはクロスオーバー比較試験が用いられた。

実験の流れ

足関節背屈可動域

足関節の背屈可動域の測定は3パターン行った。active ROMとして自体重でランジ動作を行ったときの背屈可動域を、passive ROMとして膝伸展位と膝屈曲位の足関節背屈可動域を測定した。

自体重でのランジ動作時の背屈可動域の測定

足関節背屈可動域の測定

フォームローリング

フォームローリングにはHYPERICE社のVYPERを使用した。振動付き条件のときは、VYPERの振動をsetting 2(32Hz)に設定した。振動無し条件のときは、VYPERの電源を入れずに実施した。

下の写真のように、利き足のふくらはぎをフォームローラーに乗せて、ローリングを行った。写真の方法で、痛みが強い場合は、非利き足を床に降ろすことで対応した。

被験者は、足首から膝にかけてゆっくり5秒かけてフォームローラーを転がし素早く戻す、という動作を30秒間繰り返した。

ふくらはぎのフォームローリング

静的ストレッチ

フォームローラー後の可動域測定が終了すると、次にヒラメ筋と腓腹筋の静的ストレッチを30秒×3セット実施した。

結果

WBL=ランジ動作時の背屈可動域(Active ROM)・DF-S=膝伸展位の背屈可動域(Passive ROM)・DF-B=膝屈曲位の背屈可動域(Passive ROM)

足関節背屈可動域の変化

静的ストレッチ後の可動域の変化

考察

フォームローリングを行うことで、振動の有り無しに関わらず、足関節の背屈可動域は有意に増加したが、振動有りの方が、より大きな可動域の増加が得られた。

また、フォームローリング単独の実施よりも、静的ストレッチを組み合わせた方が、大きな可動域の改善が得られた。

しかし、本研究で得られた可動域の増加が、臨床的に意味のあるものであるかは分からない。フォームローリングや静的ストレッチを行ったあとの足関節背屈可動域の増加が、動作パターンの改善やケガのリスクを減少させるかは、追加の研究が必要である。

長期的な効果については、明らかではないので、今後の調査が望まれる。

個人的感想

株式会社ノースランに問い合わせメールを送ってから、8日目に返信がきました。問い合わせが集中しているため返事が遅くなったとのことです。

これを遅いと感じるか、普通と感じるかは個人の感覚により違うかと思いますが、このあたりは故障等でサポートが必要になったときの、企業としての対応の速さにも関わってくると思います。

関節可動域が最大40%向上…?

さて、冒頭で述べた焦点についてですが、まずは、可動域が最大40%増加したという宣伝文句に関してです。

これは、やはり被験者の中には反応が良い人がいて、その人は関節可動域が40%増加していました、ということのようです。

当たり前ですが、論文の本文中では40%云々という話は出てきません。たとえ、一人が大きな変化を見せたからと言って、それを抽出して効果を語るのは妥当性を欠いています。

VYPERでしか体験できない振動効果…?

論文を読んだ限りでは、HPで謳われている「VYPERでしか体験できない振動効果」「他社製品の場合は、皮膚表面にだけ働きかけるので筋肉組織に効果がない」の根拠はありません。

このように、他社よりも自社製品が優良であることを主張する比較広告を用いる場合は、その主張が客観的に実証されている必要があるはずです(景品表示法)。

そのことに配慮してかは分かりませんが、VYPERの商品ページには「他社製品は効果が無い」という記述がありますが、VYPER2.0の商品ページでは、そのような他社製品との比較広告は載っていません。

振動はVYPERの方が強そうなので、強い振動を求める方はVYPERを選ばれるとよいと思います。ただし、setting 3は動作音がかなり大きいので、マンションだと厳しいです。

VYPERの「他社製品は効果がない」という主張を見て、ドクターエアだと効果ないのかなあ…と不安に思われている方がいるとしたら、そこは気にしなくてよさそうです。

どちらを使っても大きな差は無いはずなので(VYPERの方が高価なので、より効いている気がするというのはあるかもしれませんが)、あとは価格やデザイン面を比較して決めれば良いと思います。