【論文紹介】静的ストレッチングが血管内皮機能と動脈スティフネスに与える影響

アブストラクトの紹介なので、非常に簡潔な内容となっております

Evaluation of a static stretching intervention on vascular endothelial function and arterial stiffness

Shinno H, Kurose S, Yamanaka Y, Higurashi K, Fukushima Y, Tsutsumi H, Kimura Y
Eur J Sport Sci. 2017 Mar 13:1-7.

目的

血管内皮機能の維持および改善は、心血管疾患の予防に寄与し、健康寿命を延ばすと考えられる。血管内皮機能の可逆性を考慮すると、この機能を改善するための介入は、動脈硬化を防止する可能性がある。そこで、血管内皮機能(reactive hyperaemia peripheral arterial tonometry index:RH-PAT index)と動脈硬化(brachial-ankle pulse wave velocity:baPWV)に対する6ヶ月間の静的ストレッチングの効果を検討した。また、介入遂行後6ヶ月間のディトレーニング期間を設け、静的ストレッチングによって得られた効果の可逆性を検討した。

方法

この研究では、40歳以上の健康な非喫煙の閉経前女性22名を対象とした。
被験者は、完全介入群(n = 11;平均年齢:48.6±2.8歳)または対照期間を含む半介入群(n = 11;平均年齢:46.9±3.6歳)にランダムに割り当てられた。

結果

3ヶ月間の静的ストレッチングにより、柔軟性および血管内皮機能は有意に改善した。6ヶ月間の介入終了後には動脈スティフネスが有意に改善した。しかし、6ヶ月のディトレーニング期間後には、血管内皮機能、柔軟性、および動脈スティフネスは、すべて介入前の状態に戻り、静的ストレッチングによって得られた効果の可逆性を示した。

結論

3ヶ月間の静的ストレッチングの実施により血管内皮機能が改善し、さらに3ヶ月間の介入により動脈硬化が改善された。しかし、これらの効果は、ストレッチングの実施を中止することにより失われた。

個人的感想

日本の研究グループによる、静的ストレッチングと血管ステータスに関する研究です。Nishiwakiら(2015)の先行研究のとおり、定期的な静的ストレッチングは血管内皮機能および動脈スティフネスを改善させました。今回の研究では、さらにディトレーニング期間の影響が検討されており、興味深いです。

静的ストレッチングを中止すると得られた効果は失われるということなので、やはり何事も継続しなくてはいけないということのようです。

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