Effect of the flexibility training performed immediately before resistance training on muscle hypertrophy, maximum strength and flexibility
European Journal of Applied Physiology
, Volume 117, Issue 4, pp 767–774
目的
筋トレの直前にストレッチを行うルーティーンと、ストレッチを行わないルーティーンでトレーニングを継続したときの最大筋力と外側広筋の筋横断面積の増加に与える影響を調査することを目的とした。
方法
参加者の左右の脚をそれぞれの条件に割り当てた(片脚は筋トレ前にストレッチをする条件(ストレッチ-筋トレ条件)、もう一方の脚は筋トレのみの条件(筋トレ条件))。
レッグエクステンションを80%1RMの重量で適切に挙上できなくなるまでの実施を4セット行った。ストレッチ-筋トレ条件に関しては、筋トレの前に25秒の静的ストレッチングを2セット実施した。
10週間のトレーニング期間のうち、トレーニングボリュームは1~5週、6~10週の期間に区切って算出した。筋横断面積と最大筋力と柔軟性はベースライン(0週目)と期間終了後(10週後)に評価した。
結果
実施レップ数とトータルトレーニングボリュームは、1~5週目・6~10週目のいずれにおいても、ストレッチ-筋トレ条件よりも、筋トレ条件の方が大きかった。
外側広筋の筋横断面積に関しては、筋トレ条件で12.7%の増加、ストレッチ-筋トレ条件で7.4%の増加であった。
最大筋力は筋トレ条件で12.7%、ストレッチ-筋トレ条件で12.9%と同様の変化であった。柔軟性は筋トレ条件が2.1%、ストレッチ-筋トレ条件が10.1%であった。
結論
これらの結果は、筋トレ直前のストレッチ実施が、レップ数・トレーニングボリューム・筋力の獲得に対してネガティブな影響を与える可能性を示唆している。
「ストレッチで筋肥大・筋力アップ」について科学論文が示す真実個人的感想
静的ストレッチが直後の運動パフォーマンスを低下させるというのは、すでに多くの報告がありますので、そのことを考えると今回の結果は不思議に感じる内容ではありません。
パフォーマンスが低下するということは、一回一回のトレーニングの質(扱える重量や反復回数)が落ちる可能性があり、長期的に見れば、それが筋肥大の達成にはマイナスになってくるということです。
筋肥大が一番の目的であるなら、筋トレ直前に静的ストレッチを「習慣的に」行うのは避けた方が良いかもしれません。毎回では無く、その日のコンディションに合わせて、必要と思えば取り入れるという感じです。
また、本研究結果から、筋トレ(マシントレーニング)だけでも関節可動域の増加は生じそうですが、その効果はストレッチを併せて実施したときのそれと比較すると、はるかに小さいと言えます。ただし、本研究は単関節種目であるレッグエクステンションを行っているので、フリーウェイトを行う場合は結果が違ってくると思います。
いずれにせよ、少なくとも筋トレの結果、関節可動域が小さくなる=身体が硬くなるということは無さそうです。
【論文紹介】筋トレのセット間レストに行うスタティック or ダイナミックストレッチングが、次のセットのレップ数に与える影響(男性ボディビルダーを対象にした場合)
【論文紹介】筋トレとダイナミックストレッチングの組み合わせが筋力と柔軟性に与える影響