【書籍紹介】スターティングストレングス日本語版

スターティングストレングス日本語版

2019年4月5日にStarting Strengthの日本語版が出版されました。翻訳はAthleteBody.jpの八百健吾さんが担当されています。Starting Strengthは、世界的に支持されているバーベルエクササイズの解説本です。

本書は主にスクワット・プレス・デッドリフト・ベンチプレス・パワークリーンの5種目を詳細かつ丁寧に解説したものです。なかでもスクワットの解説には、およそ60ページを割いています。この点について、本書の冒頭「日本語出版に寄せて」で、S&Cコーチの河森さんが以下のようにコメントを寄せています。

これまで筋力トレーニングに関する数多くの書籍が出版されてきました。筋力トレーニングエクササイズの具体的なやり方を説明している本もありますが、1つのエクササイズにつき見開き1ページ程度の説明しかなされていないことがほとんどです。(中略)スクワットやデッドリフトのように複雑な多関節エクササイズ、しかもフリーウエイトエクササイズについては、見開き1ページ程度の短い説明を読んだだけで、適切なやり方を理解して身に付けることは困難です。

(中略)一般的な筋力トレーニング関連本と比較して、Starting Strengthの最大の特徴は、スクワット・プレス・デッドリフト・ベンチプレス・パワークリーンの5種目のバーベルエクササイズに主な対象を絞り、それぞれについて何十ページにもわたる詳細な説明を提供している点です。1つ1つのエクササイズについて、これほどのページ数を割いて詳しい説明をしている本は他に見当たりません。

この記事の一番最後に目次を載せていますので、ぜひそのページ数にも注目してチェックしてみてください。「詳細に」の意味がきっと分かるはずです。

また、上記5種目以外の補助的エクササイズについても解説があります。5種目ほどボリュームのある解説ではないものの、一般的なトレーニング本とは比較にならないほどの考察がなされています。

本書との向き合い方

本書が詳細かつ貴重な情報を提供してくれていることは間違いありませんが、AthleteBody.jpの記事では「Starting Strengthに書かれていることすべてが絶対的正解だとは考えておりません。」と書かれています。

「Starting Strengthに書かれていることこそ、唯一の正解」というような極端な解釈は、翻訳者として望んでいないということです。

これまでは英語を読める一部の人だけに限られていましたが今回の日本語版Starting Strength出版を機に、バーベルを使う日本中のトレーニーに「考える材料」を得てもらえればサイコーです。

スターティングストレングス日本語版

金額について

本書は本体価格5,800円なので、税込みだと6,000円を超えてきます。専門書としては平均的な価格かとは思いますが、やはり一般向けの2,000円前後の書籍と比べると高いと感じてしまうかもしれません。おそらく金額面で購入を躊躇される方も居られると思います。

しかし、6,000円はセミナーの価格としては一般的(むしろ安価)な金額です。私は6,000円のセミナーで、ここまで情報量が多く、整理された資料を見たことがありません。

また、2,000円程度の書籍を3冊買うよりも、本書を一冊買う方が間違いなく多くの知識を手に入れることができます。仮に値段は3倍でも、情報量は3倍以上であることを保証します。似たような本を何冊か買ったり、あれこれセミナーを受けに行く前に本書を手に取ることをおすすめします。

購入にあたって(特典動画)

なお、AthleteBody.jp経由で特別販売ページから購入すれば、Starting Strengthの動画コンテンツに日本語字幕がついた特典動画を視聴することができます。詳しくは以下のページをご覧ください。

参考 日本語版Starting Strength発売AthleteBody.jp

まとめ

本書の「日本語出版に寄せて」で、河森さんがStarting Strengthの優れているところについては書いてくれています。

もはや私から付け足すことは何も有りませんし、本書の内容の一端に触れられるほうが、この記事をご覧の方にとっても有益と思いますので、そちらを一部引用して終わりとさせて頂きます。

現時点では、購入前に実物を手に取る機会がない方も多いと思いますので、参考になれば幸いです。

Starting Strengthでは、各エクササイズの具体的なやり方、つまりHowの部分が詳細に説明されているだけではなく、なぜそのやり方でやるのか、つまりWhyの部分についても、バイオメカニクスや解剖学の知識を使って解説されています。筋力トレーニングを指導する立場の読者であれば、Howだけではなく、その背景にあるWhyもしっかり理解しておくことで、より効果的に、そしてより自信を持ってHowを指導できるようになります。また、ご自身で筋力トレーニングをされている読者であれば、Whyを知っておくことで、適切な動き(=How)に対する意識が高まり、より効果的なトレーニングに繋がるはずです。(中略)本書を読むことで驚かれると同時に、これまでの認識が大きく変わる経験をされることでしょう。

 

スターティングストレングス日本語版モックアップ

目次

はじめに

日本語出版に寄せて

1 鍛える理由と方法

1
なぜバーベルなのか?1

2 スクワット

7
過重下での身体動作10
安全性と重要性から見るスクワットの深さ15
スクワットを覚える18
 ヒップドライブを生む18
 バーベルを担ぐ21
 よくある間違い25
てこの原理とモーメント
(バーベルトレーニングの根底にあるもの)
27
正しいスクワットの共通点33
 グリップと肘の使い方35
 背中37
 股関節41
 膝47
 足のスタンス52
すべてを正すバーベルの軌道53
呼吸54
スクワットの補助56
 パワーラック58
個人のトレーニング用品59
 ベルトとニーラップ59
 シューズ62
 衣服63
 鏡63
コーチングキュー64

3 プレス

67
プレスを覚える74
フォームのミスと修正方法81
 身体が緩む81
 バーベルの軌道の問題82
 プッシュプレスになってしまうチーティング86

4 デッドリフト

89
デッドリフトを覚える94
 ステップ1:スタンス95
 ステップ2:グリップ96
 ステップ3:膝を前に出す96
 ステップ4:胸を張る97
 ステップ5:挙上動作97
背中の姿勢99
引く動作での力の働き102
神は細部に宿る122
 バウンドさせない122
 視線を正しく決める124
 腕をまっすぐ伸ばす124
 引き切る125
 プラットフォーム126
 ストラップとベルト127
 思い留めておくべきこと127

5 ベンチプレス

131
ベンチプレスを覚える133
よくある間違い138
 バーベルの握り方138
 肘140
 胸143
 上背部147
 首149
 下背部・股関節・脚150
 足151
呼吸153
ラックの使い方154
補助のしかた155

6 パワークリーン

161
神経筋系165
パワー・力発揮・速度165
パワークリーンを覚える166
 ハングポジション・ラックポジション・
ジャンピングポジションを覚える
168
 ウェイトプレートを付ける174
 フックグリップ175
 本書の指導方法のコツ177
爆発的プル種目であるパワークリーン177
 スタンスとグリップ177
 引き始め179
 デッドリフトからクリーンへの中継点183
 プル動作の最終段階190
 ラックポジション195
 バーベルを肩で受け止めたあと198
パワースナッチ199

7 有効な補助種目

211
可動域を限定したデッドリフト212
 ホルティングデッドリフト212
 ラックプル214
 バーベルシュラッグ215
 パーシャルスクワットとパーシャルプレス217
スクワットのバリエーション種目222
 オリンピックスクワット222
 フロントスクワット222
ベンチプレスのバリエーション種目228
 手幅を変えるバリエーション種目229
 角度を変えるバリエーション種目230
デッドリフトのバリエーション種目233
 ルーマニアンデッドリフト(RDL)233
 スティフネレッグドデッドリフト(SLDL)237
 ブロックを使ったデッドリフト239
 グッドモーニング239
プレスのバリエーション種目243
 ビハインド・ザ・ネックプレス243
 プッシュプレス243
付加種目245
 チンアップとプルアップ245
 ディップ249
 バーベルロウ252
 バックエクステンションとグルートハムレイズ255
 カール258
 上腕三頭筋のトレーニング種目263
代わりの利かないバーベルトレーニング265

8 プログラム作り

267
各種目のフォームを覚える順序271
 トレーニング種目の組み合わせ272
 ウォームアップセット273
 メインセット276
 重量の増やし幅279
栄養と体重283
トレーニング用品286
 パワーラックとプラットフォーム287
 ベンチプレス台290
 バーベルとウェイトプレートとカラー291
 チョーク・トレーニング着・
トレーンング日誌・ジムバッグ
294
筋肉痛と怪我295
子どものバーベルトレーニング296
著者紹介299
クレジット300
索引302

スターティングストレングス日本語版マッチョ