パワーポイントで資料作りをするときのデザインについて尋ねていただく機会があったので、簡単にまとめておきたいと思います。
今回は表紙と見出しスライドに限定して、普段使っているデザインのパターンを紹介します。
Contents
表紙のスライドに力を入れる理由
わくわく感の演出
表紙のスライドで「よく準備されているセミナーだ」とか「どのような内容かワクワクする」というような印象を与えられたら、より興味を持って聞き始めてもらえるかもしれません。
もちろん、もっとも大事なのは資料の内容であることに違いはないですが、興味を持ってもらえるなら発表者にとってはプラスです。
単純に楽しいから
どちらかと言うと、私の場合はこれが大きいです。単純にスライドのデザインを考えている時間が楽しいからやっているという感じです。
高画質な写真の手に入れ方
O-DAN|オーダン
無料の写真素材をダウンロードできるサイトはいくつかありますが、O-DANはそれらのサイトを横断して検索できるウェブサイトです。
日本語にも対応しています。写真を探すとき、ほとんどここしか使っていません。
高画質な写真が有るのと無いのとでは、クオリティーに雲泥の差があるので欠かせないサイトです。
スライドのサンプル集
というわけで、ここからはサンプルのスライドを列挙していきます。ビジネスシーンでのプレゼン向けではなく、セミナー講師をするときやカジュアルなシーンでの研究発表等を想定したデザインです。
今回は、とりあえずサンプルを色々と載せることにしました。デザインを解説するブログではないので、それぞれのスライドの作成過程を詳しくは説明していません。
なお、スライド内で使用している写真はすべてO-DANで見つけた無料素材ですが、加工にPhotoshop(月額1,058円)と有料フォントを使っているものを含んでいます。
有料フォントに関しては似たようなフォントを無料で見つけることもできます(ただしデザイン面で、ある程度の妥協は必要)。
表紙スライド
最もシンプルな例がこちら。
中央配置で、タイトルと所属・氏名のみを書いて終わりです。所属団体のロゴを配置してもいいと思います。
講師自身の知名度がかなり高かったり、所属団体のブランド力があるときは、これくらいシンプルなスライドが「逆にカッコイイ」と思えるときもあります。
しかし、「見る人によっては手抜き感があるように思われてしまう」というリスクもあります。
デザイン面としては、文字色をグレーにしています。文字色が完全に黒だと背景の白とのコントラストが強すぎて馴染んでいない印象になるからです。これは全スライドに共通のルールで、背景が白の場合はややグレーの文字色を使います。
それから、タイトルに含まれる助詞(ここでは「の」)のフォントサイズを1段階小さくしています。これは広告物等でよく見かけます。
背景を塗りつぶしにする
白い背景のままだと、素っ気なく感じるのであれば、塗りつぶしにして文字色を白にするだけで、なんとなくおしゃれな感じになります。普及してきているマテリアルデザインを踏襲するのであれば、背景の色はMaterial Design Colorsを使用するとよいです。
参考 マテリアルデザインでの「色」の使い方とガイドラインの要点サルワカ背景をグラデーションにするだけで先進的なイメージに
背景をグラデーションにするだけで一気にデザイン性が上がります。グラデーションの配色パターンは自分で考えると失敗する可能性があるので、WebGradientsを使うと外さずに済みます。
以上の3枚はとにかくお手軽なデザインです。
このままだと、どうも物足りないという場合は、これからご紹介する画面一杯に写真を配置する方法が簡単でおすすめです。
とにかく簡単で力強いイメージ
写真全面配置+特大サイズのフォントでタイトル挿入。これだけでインパクトのある表紙になります。簡単すぎて1分で完成します。
写真は、彩度を一段階落として、コントラストを20%上げています。いずれもパワーポイント上での編集です。
繊細なイメージを加える
セミナーの内容によっては、もう少し繊細なイメージの表紙にしたいということもあるかもしれません。そういうときはこちらのタイプが簡単です。
被写体を右寄りに配置して、左側をグラデーションの黒塗りで潰して、そこに白字でタイトルと名前を挿入します。
セミナーの内容を反映させるようなデザイン
右側に幾何学模様を配することで、「このセミナーではテクニカルな説明も詳しくしてもらえそうな雰囲気」を醸し出すデザインを狙っています。こちらもパワーポイントのみで作成。
デュオトーンを採用して、一気にデザイン性を高める
デュオトーンは、Spotifyが取り入れたことで、人気が再燃しているデザインです。
元の写真をPhotoshopでデュオトーンに加工し、切り抜きも使ってデザイン性を高めました。あえて白の縁取りをして、そこに図形や足をはみ出させることで、ダイナミックな印象を強めようとしています。
寒色系でまとめるとクールですが、ポップな印象で作りたいときは暖色系にします。
フォントもポップなものに変更しました。
グラデーションを使えば、簡単なのにおしゃれなイメージに
グラデーションを使ったシンプルなデザインです。写真の上から長方形の図形(グラデーションで塗りつぶし・透明度を上げる)を重ねるだけで完成です。写真自体の加工は不要なので、使用しているのはパワーポイントのみです。グラデーションの色合いと使用フォントさえ決まっていれば、こちらも1分ほどで作れます。
スライド下部を三角に白塗りして、変化のあるデザインに
スライド下部を長方形で白塗りするよりかは、三角形で白塗りした方がスタイリッシュなイメージになるような気がしています(個人的に)。
中央に帯をかぶせるようなデザイン
これも、シンプルで定番のパターンです。写真の上に帯を被せたようなデザインです。帯は半透明にして、後ろの写真を少しぼかすと、奥行きが出ます。このあたりは好みで、という感じです。
女性向けのエレガントなデザイン
女性向けのデザインも考えてみました。まずは、シンプルに。
エレガントなフォントを使って、上品なイメージを狙っています。
これだと少しシンプルすぎて物足りない、という場合、少しポップな要素を加えるのもアリだと思います。
同じ女性の写真をもう一枚挿入し、一枚はモノクロ、もう一枚はピンクにして、少しだけずらして配置します。
先ほどよりも写真の印象が強くなるので、タイトルが負けないようにフォントを変えて、重ねるようなデザインに変更しました。
1枚目の方は薄味で、こちらの方が濃い味付けという感じです。
見出しスライドのサンプル
章始めの見出しを想定したスライドです。
例として、『「ここからはプライオメトリックエクササイズについて話します」ということを示すための見出しスライド』を想定して作りました。
普通に文字を置くとこんな感じになります。写真とフォントが良ければ、そこそこまとまった印象にはなりますが、良くも悪くも普通です。
フォントを変えてみます。
動きのある印象が増しました。
1枚目と同じフォントを使った場合でも、両端がほんの少しだけはみ出るように配置すると、インパクトのあるスライドになる…ような気がします。
実はここまでの見出しスライド3枚は、あまり親切な構成ではありません。
セミナーが長時間の場合で、内容が多いときは「今、どのあたりを説明しているか」が俯瞰できるようなガイドを見出しスライドに添える方が良いとされています。
これがあると「今から話す内容は、全体の中でどのような位置づけ、意味合いで説明するのか」がイメージしやすいからです。
修正を加えてガイド付きにしたものがこちらです。
こちらのスライドで使っている矢印のアイコンは下記のページから、色々セットでダウンロードできます。通常のテキストや図形挿入で矢印を入れるよりも、このアイコンがあるだけで、ずいぶん整った印象が増すのでおすすめです。
参考 フリーアイコンFont Awesome(369種類)をパワーポイントで簡単に使えるようにしました!The Power of PowerPoint実際にセミナーで使用したスライド例とデザインの意図
実際にセミナーで使用した表紙スライドをいくつか掲載します。それぞれどのような考えで、そのデザインにしているかの簡単なコメントもつけました。
デザインのヒントの仕入れ方
デザインのヒントを蓄えるために普段Webサイトを見ていたり、SNSのタイムラインに流れてくる広告などで、目に留まったものがあればスクリーンショットで保存するようにしています。また、街中でも同様に良いデザインを見かけたら写真を撮ります。
「その広告物の何が良くて惹かれたのか」を分析して、今後の自分のデザインに取り入れます。分析と言っても深く考えず、「自分が良いと思った理由」を蓄積していくという感じです。
お洒落なスライドデザインの参考になるパワポ良質見本-厳選10個あとは、書籍を読んだりして基本的なデザインのルールは、少しずつ把握していこうとはしています。参考までに、現在手持ちのプレゼン・デザイン関連の書籍です。
左の「プレゼンデザイン素材集Z」と「社外プレゼンの資料作成術」は、対象がセミナー用のスライドデザインとは少し違ったかな、という印象でした。
スライドデザインに興味のある方は、真ん中の「伝わるデザインの基本」「一生使える見やすい資料のデザイン入門」「スライドデザインのセオリー」、この3冊のうち1冊は持っておくことをおすすめします。「今まで、あまりデザインを気にしたことがなかった」という場合は、どれかを読むだけでもスライドデザインが劇的に良くなること間違いなしです。
「伝わるデザインの基本」に関しては、Webサイトがあるので、まずはそちらを覗いてみるだけでも、とても勉強になります。
参考 伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン上段の「Webデザイン良質見本帳」は、スライドデザインとは直接関係しませんが、参考にできる情報は存分に詰まっています。見つけたときは「こんな本が欲しかった」という感じで即買いでした。
これをきっかけにスライドデザインに興味を持つ方が増えると嬉しいです。
手間をかけずにパワポのデザインをおしゃれにする厳選ルール5つ パワーポイントで作るおしゃれな棒グラフデザイン例