【論文紹介】食事管理と筋トレ、体脂肪を減らすのは?

Resistance Training Combined With Diet Decreases Body Fat While Preserving Lean Mass Independent of Resting Metabolic Rate: A Randomized Trial

Miller T, Mull S, Aragon AA, Krieger J, Schoenfeld BJ.
Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2017 Sep 5:1-24.

要約

 

本研究の目的は、閉経前の女性を対象として、レジスタンストレーニング群、食事管理群、レジスタンストレーニング+食事管理群およびコントロール群の体組成と安静時代謝率の変化を検討することであった。

 

食事管理群とレジスタンストレーニング+食事管理群に分類された被験者は、主要栄養素とカロリー摂取量の目標値が定めれ、タンパク質は(1日)体重1kgあたり1.4gに設定された。

 

レジスタンストレーニング群とレジスタンストレーニング+食事管理群に分類された被験者は、全身のレジスタンストレーニングを実施した。

 

その結果、(コントロール群を除く)すべての介入群は、体脂肪の減少を示した。減少の推移を示す下降線は、レジスタンストレーニング+食事管理群>食事管理群>レジスタンストレーニング群の順に急勾配であった。

 

除脂肪量は、レジスタンストレーニング群でのみ有意な増加が認められた。安静時代謝率はすべてのグループで有意な変化は見られなかった。

 

以上の結果から、すべての介入群において体脂肪量の減少は得られたが、最大の効果を得るためにはレジスタンストレーニングと食事管理の組み合わせがよいということになる。また、除脂肪量の増加はレジスタンストレーニングのみを実施した場合だけで生じることが示唆された。

緒言

ACSMは体重減少のために週あたり150~250分の中程度強度の運動を推奨している。レジスタンストレーニングに関してACSMは、除脂肪体重を増加させる手段としては推奨しているものの、体脂肪量減少のためにはとりわけ推奨はしていない。

これは何も驚くことではない。レジスタンストレーニングが直接的に体重減少に貢献することを示した研究は、限られた数に留まるからである。レジスタンストレーニングが体重減少に効果的ではないと報告する研究もある1,2

いかなる減量プログラムも、カロリー収支をマイナスにすることは必須である。一般的に有酸素運動は時間当たりのカロリー消費量がレジスタンストレーニングよりも大きいため、このタイプの運動が体重減少においては推奨されているというわけである。

減量目的の手段としてレジスタンストレーニングが外されているのには、栄養士や運動指導者の間で、次のようなことが広く信じられているからである。それは、「カロリー収支がマイナス時に筋肥大は不可能。」「体脂肪の減少にカロリー収支をマイナスにすることは必須であるから、そのタイミングで筋の成長を狙ってレジスタンストレーニングを行うことは直感に反する。」ということである。

これらの考えを覆す研究報告が出始めているにも関わらず、上記のような考えは無くならない3,4

レジスタンストレーニングは、終了後の安静時代謝を上昇させることが示されている5。加えて、筋量が多ければ、安静時代謝も大きい6

レジスタンストレーニングとは異なり、カロリー収支がマイナスの状態で有酸素運動を習慣的に行うことは筋量の減少を招き、その結果、体組成の改善には遠回りになる可能性もある7。理想を言えば、筋量を維持したまま、体脂肪だけを落とすべきである。

体重減少について調べた研究において、レジスタンストレーニングが効果的ではないと報告されているのには、いくつかの事情が存在する8。主なものとして以下の3つが挙げられる。

  1. カロリー摂取量が十分にコントロールされていなかった
  2. 筋の成長をサポートするために必要なタンパク質量が考慮されていなかった
  3. レジスタンストレーニングの負荷が不十分であった
そこで、本研究の目的は以下のように設定した。なお、被験者は過体重で閉経前の女性を対象としている。
  1. レジスタンストレーニングと食事管理を組み合わせた場合、レジスタンストレーニングのみ、あるいは食事管理のみの場合よりも、体組成の改善をもたらすか
  2. レジスタンストレーニングと食事管理を組み合わせた場合、レジスタンストレーニングのみ、あるいは食事管理のみの場合よりも、内臓脂肪の減少をもたらすか
  3. カロリー収支がマイナスの状況下において、筋量の増加と体脂肪量の減少は同時に起こりえるか

方法

被験者は40名の女性

  • 体重:87.4±12.6 kg
  • 身長:165.7±7 cm
  • 年齢:32.3±4.8歳
  • BMI:31.9±4.4
被験者の条件は以下のとおりとした。
  • 25-40歳
  • 生理周期に乱れが無い
  • 体脂肪率が30%以上
  • 身体活動は一般的な日常生活レベル
  • 米国疾病予防管理センターの運動ガイドラインに当てはまらない
  • 過去1年間にウェイトトレーニングプログラムを実施していない
  • 参加時点で食事管理をしていない
  • 被験者は、4つあるグループのうち、どれか1つにランダムに振り分けられた。
    1. コントロール 群
    2. 食事管理 群
    3. レジスタンストレーニング 群
    4. レジスタンストレーニング+食事管理 群

    脂肪量、除脂肪量、骨塩量、内臓脂量はDXAを使って測定した。それらの測定を済ませた後、間接熱量計を用いて安静時代謝率を推定した。

    DXAを用いた測定は4週目、8週目、12週目、16週目にも行い、安静時代謝率の測定は16週目に再度行った。

    食事

    [食事管理群]と[レジスタンストレーニング+食事管理群]に振り分けられた被験者は、管理栄養士により、マクロ栄養素とカロリーの目標値を設定された。

    総摂取カロリーの20%を脂質、タンパク質は除脂肪体重1㎏あたり3.1gの量、残りを炭水化物から摂取することとした。

    食事記録は、スマートフォンアプリとウェブサイトを用いて管理した。実験期間中、被験者はすべての食事内容を記録するよう求められ、それらのデータを分析することで総カロリーや摂取したマクロ栄養素を計算した。

    エクササイズ

    トレーニング頻度は週2~3回(トレーニングの段階に従い調整。はじめはエクササイズテクニックを身に付けるところからスタート)とし、それを16週間継続した。すべてのセッションは認定トレーナー監督のもと、実施された。

    トレーニングプログラムは2つのパターンを4週間毎に切り替えて実施した。

    プログラム1
    スクワット・ルーマニアンデッドリフト・スイスボールスクワット・ベンチプレス・ラットプルダウン・ダンベルショルダープレス・インクラインダンベルフライ・シーテッドロウ・ダンベルラテラルレイズ・バックエクステンション
    プログラム2
    デッドリフト・レッグカール・レッグエクステンション・インクラインダンベルベンチプレス・クローズグリッププルダウン・アーノルドプレス・ケーブルクロスオーバー・チェストサポ―テッドダンベルロウ・フェイスプル・バックエクステンション
    すべての種目は10-12RMで4セット(セット間レストは60~90秒)とした。各月の第1週目~第3週目は週3回のセッションを、第4週目に関しては週2回のセッションを実施した。

    1セット目で12レップ以上行えた場合、あるいは4セットとも12レップ完遂できた場合に使用重量を増加させた。以上のように、重量を漸増させることで、反復可能回数が10~12の範囲におさまるようにした。

    結果

    実験を完遂したのは31名で、9名はドロップアウトした。その結果、各グループの人数はコントロール群8名、レジスタンストレーニング群9名、食事管理群9名、レジスタンストレーニング+食事管理群5名となった。

    体重

    食事管理群とレジスタンストレーニング+食事管理群において、有意な減少がみられた。

    体重の変化

    体脂肪率

    コントロール群を除く、すべての介入群で有意な減少がみられた。

    体脂肪量

    すべての介入群において、有意な減少がみられた。[レジスタンストレーニング群]と[レジスタンストレーニング+食事管理群]の間には有意な差が認められた。

    筋量

    レジスタンストレーニング群でのみ有意な増加がみられた。

     

    考察

    本研究では3つの主な発見があった。

    1. すべての介入群において体脂肪の減少が認められたが、その程度はレジスタンストレーニング+食事管理群が最も大きかったということ。
    2. 筋量が増加していたのはレジスタンストレーニング群だけであったということ。レジスタンストレーニング+食事管理群は増加していなかったということは、食事管理を組み合わせることによって、レジスタンストレーニングで得られるはずであった筋量増加が抑制されてしまったと考えられる。
    3. 安静時代謝率はすべてのグループで変化しなかったということ。つまり、筋量の変化は安静時代謝率に有意な影響を与えなかったことになる。

    レジスタンストレーニング群が1-3ヵ月は体脂肪が減少したものの、4ヵ月目で増加したことを除けば、すべての介入群において、16週間の実験期間を通して体脂肪は有意に減少した。

    レジスタンストレーニング群は栄養指導は与えられず、普段の食生活を継続するように指示されていたが、最初の3ヵ月は低カロリー状態になっていたようだ。トレーニングを開始したことで「より効果を得たい」という気持ちが働いたのだろう。4ヵ月目に体脂肪量が増加したのは、そのような気持ちが薄れてきたことを反映したものと思われる。

    以上の結果は、体脂肪を減少させるという面においては、食事管理とエクササイズの組み合わせが最高のアプローチであり、エクササイズは補助的な位置づけではあるものの、重要な役割を果たすという事実を改めて示すものである。

    Clarkのシステマティックレビューによれば、食事管理+レジスタンストレーニング群、有酸素運動+レジスタンストレーニング群は、食事管理のみ群よりも、体組成改善に効果的であった9

    さらにBouchard et al.(2009)は、閉経後の肥満女性を対象として、カロリー制限群、レジスタンストレーニング群、カロリー制限+レジスタンストレーニング群を比較した。その結果、カロリー制限群と、カロリー制限+レジスタンストレーニング群では、体脂肪の減少が認められたのに対し、レジスタンストレーニング群では減少していなかったことを報告している10

    興味深いことに、今回の4ヵ月間の介入において、食事管理群は除脂肪体重を減少させなかった。先行研究に基づけば、カロリー収支がマイナスの時は、除脂肪量が減少するはずである。

    考えられる可能性としては、除脂肪体重1kg当たり3.1gのタンパク質を摂取したことが、除脂肪体重の減少を相殺したように思われる。Helms et al.(2014)によるシステマティックレビューによれば、トレーニング習慣のある人がカロリー制限時に筋量の減少を抑えるためには、除脂肪体重1kg当たり2.3~3.1gのタンパク質を摂取する必要があると報告されている11

    加えて、本研究においては厳しいカロリー制限を行わなかった(食事管理群:1日1419kcal、レジスタンストレーニング+食事管理群:1日1505kcal)。被験者に対しては、食事内容を遵守するように厳密な対策を行ったが、それでもなお、カロリー摂取量を過少報告している可能性は否めない。

    以上のように、元々厳しいカロリー制限をしなかったことに加えて、総カロリー摂取量の過少報告の可能性があり、またタンパク質の摂取量を高いレベルに保ったことが、除脂肪量の減少を抑制したと考えられる。

    本研究では、安静時代謝率は変化しなかった。この結果は、筋量の変化は必ずしも安静時代謝率の変化を伴うわけではないという先行研究と一致する5。しかしながら、安静時代謝率の有意な変化を検出するためには、さらに長い期間の介入が必要だった可能性もある。

    今回の研究は、いくつかの限界を孕んでいる。まず、DXAは体組成を推定する優れた手法であるが、DXAで測定される除脂肪量が、骨格筋量の変化を完全に反映できているとは限らないという点。

    二つ目は、被験者が閉経前の女性であることを考慮すると、生理周期が体組成の測定結果に影響を与えた可能性もあるという点。

    三つめは、今回の結果は、閉経前の肥満女性を対象にしたものであり、この結果を他の特徴を持つ集団に一般化するには慎重な態度を要するという点。

    最後に、被験者数が比較的少なかったため、有意差判定における検定力が限定的であったことが挙げられる。

    結論

    本研究結果は、全身のレジスタンストレーニングと食事管理の組み合わせは、閉経前の肥満女性が、除脂肪量を維持しながら体脂肪量を減らすアプローチとして実用的であることを示している。

    安静時代謝率に関するポジティブな結果は得られなかった。食事は肥満を改善するための最も重要な要素であり、食事管理とレジスタンストレーニングの組み合わせは、体組成の変化の最適化に役立つようである。

    個人的感想

    本文中のリミテーションでも触れられていますが、被験者が肥満女性であったということはあらためて強調しておきたいと思います。今回の結果を、他の集団に安易に当てはめることはできません。

    個人的には、とくに違和感のない結果でした。文中で紹介されている参考文献も合わせて読めば役立つかなと思い、紹介させてもらいました。

    一部うまく理解できなかったのは、結果一覧の数値と折れ線グラフが一致していない部分(Training群のMonth 4)があるということです。私が解釈を間違えているのか、誤植があるのか…。

    参考文献

    1. Olson, T. P., Dengel, D. R., Leon, A. S., & Schmitz, K. H. (2007). Changes in inflammatory biomarkers following one-year of moderate resistance training in overweight women. International Journal of Obesity (2005), 31(6), 996-1003.
    2. Willis, L. H., Slentz, C. A., Bateman, L. A., Shields, A. T., Piner, L. W., Bales, C. W., Kraus, W. E. (2012). Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults. Journal of Applied Physiology (Bethesda, Md.: 1985), 113(12), 1831-1837.
    3. Josse, A. R., Atkinson, S. A., Tarnopolsky, M. A., & Phillips, S. M. (2011). Increased consumption of dairy foods and protein during diet- and exercise-induced weight loss promotes fat mass loss and lean mass gain in overweight and obese premenopausal women. The Journal of Nutrition, 141(9), 1626-1634.
    4. Longland, T. M., Oikawa, S. Y., Mitchell, C. J., Devries, M. C., & Phillips, S. M. (2016). Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss: A randomized trial. The American Journal of Clinical Nutrition, 103(3), 738-746.
    5. Stiegler, P., & Cunliffe, A. (2006). The role of diet and exercise for the maintenance of fat-free mass and resting metabolic rate during weight loss. Sports Medicine (Auckland, N.Z.), 36(3), 239-262.
    6. Gallagher, D., Belmonte, D., Deurenberg, P., Wang, Z., Krasnow, N., Pi-Sunyer, F. X., & Heymsfield, S. B. (1998). Organ-tissue mass measurement allows modeling of REE and metabolically active tissue mass. The American Journal of Physiology, 275(2 Pt 1),E249-58.
    7. Swift, D. L., Johannsen, N. M., Lavie, C. J., Earnest, C. P., & Church, T. S. (2014). The role of exercise and physical activity in weight loss and maintenance. Progress in Cardiovascular Diseases, 56(4), 441-447.
    8. Donnelly, J. E., Blair, S. N., Jakicic, J. M., Manore, M. M., Rankin, J. W., Smith, B. K., & American College of Sports Medicine. (2009). American college of sports medicine position stand. appropriate physical activity intervention strategies for weight loss and prevention of weight regain for adults. Medicine and Science in Sports and Exercise, 41(2), 459-471.
    9. Clark, J. E. (2015). Diet, exercise or diet with exercise: Comparing the effectiveness of treatment options for weight-loss and changes in fitness for adults (18-65 years old) who are overfat, or obese; systematic review and meta-analysis. Journal of Diabetes and Metabolic Disorders, 14, 31-015-0154-1.
    10. Bouchard, D. R., Soucy, L., Senechal, M., Dionne, I. J., & Brochu, M. (2009). Impact of resistance training with or without caloric restriction on physical capacity in obese older women. Menopause (New York, N.Y.), 16(1), 66-72.
    11. Helms, E. R., Zinn, C., Rowlands, D. S., & Brown, S. R. (2014). A systematic review of dietary protein during caloric restriction in resistance trained lean athletes: A case for higher intakes. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 24(2), 127- 138.