【論文紹介】パーソナルトレーナー有り/無しの筋トレ or ボディパンプへの参加が最大筋力および体組成に与える影響

パーソナルトレーナーに関する論文

Effects of BodyPump and resistance training with and without a personal trainer on muscle strength and body composition in overweight and obese women—A randomised controlled trial

Anne Mette Rustaden, Lene A.H. Haakstad, Gøran Paulsen, Kari Bø
Obes Res Clin Pract. 2017 Apr 6. pii: S1871-403X(17)30020-0. doi: 10.1016/j.orcp.2017.03.003. [Epub ahead of print]

研究背景・目的

過体重の人は、定期的なレジスタンストレーニングを行うことが推奨されており、そのニーズに応えるべくフィットネスクラブは筋力や体組成を改善するためのエクササイズプログラムを提供している。

今回の無作為化比較対照試験では、12週間(45~60分のセッション×週3回)のエクササイズプログラムの実施の効果を比較することを目的とした。

方法

トレーニング経験の無いBMI25以上の女性が被験者として参加し、以下の4つのグループのどれかに分類された。

  1. ボディパンプ群 25名
  2. 筋トレ(パーソナルトレーナー有り)群 25名
  3. 筋トレ(パーソナルトレーナー無し)群 21名
  4. コントロール群 21名

アウトカムとして、スクワットとベンチプレスの1RMと、Inbody720で体組成を測定した。

ボディパンプ:レスミルズが提供するグループレッスンプログラムの一種。音楽に合わせながら、軽量のバーベルを用いて低負荷高回数のトレーニングを行う。

結果

ボディパンプ群は他の群と比較して最大筋力を増加させなかった。

1RMスクワットに関しては、パーソナルトレーナー有り群がパーソナルトレーナー無し群と比較して17%、ボディパンプ群と比較して20%、コントロール群と比較して30%増加させた。

1RMベンチプレスに関しては、パーソナルトレーナー有り群はボディパンプ群と比較して10%、コントロール群と比較して16%増加させたが、パーソナルトレーナー無し群との差はなかった。

いずれの群間においても、体組成に差は無かった。

結論

12週間のボディパンプは過体重女性の最大筋力を増加させなかった。一方で、パーソナルトレーナーを付けた筋トレはスクワットの最大筋力を高める上で効果的であった。今回行った実験では、いずれの群においても体組成の変化は見られなかった。

個人的感想

新着文献で面白いものを見つけたので、紹介してみました。パーソナルトレーナーの有無に焦点を当てた珍しい論文だと思います。

どう考えても、担当するパーソナルトレーナーの力量によって結果が変化してくるはずなので、この研究結果をどこまで一般化してよいのかというのは非常に疑問ではありますが…。

ボディパンプに関しては、今回はトレーニング経験の無い女性が被験者だったので、事前にいわゆる「効かせ方」をレクチャーされて、習得してからレッスンに参加していれば、結果が変わったかもしれません。リズムに合わせて、とにかく高回数をこなすことが目的化してしまっている人も多いと思います。

もちろん、それで良いという人もいるでしょうし、今回の研究では測定されていない指標(例えば「ストレス発散のため」と言われることがあるように、気分的な領域も含めて)は改善している可能性も十分にあり得ます。なにより、本人がそれで満足しているなら、それで良いのかもしれません。

決してボディパンプをはじめとしたグループレッスンを否定するわけではありませんが、「筋力アップのため」「体型を変えるため」などの明確な目的がある場合に、優先的にボディパンプに参加することは効率的ではない可能性が示されたということになるかと思います。

「グループレッスンに参加して、結構激しく動いたから、これで身体引き締まりそう」というわけではなく、他のアプローチを考える必要があるということです。