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The effect of kinesio taping versus stretching techniques on muscle soreness, and flexibility during recovery from nordic hamstring exercise

Tarik Ozmen, Gokce Yagmur Gunes, Hanife Dogan, Ilyas Ucar, Mark Willems,
Journal of Bodywork and Movement Therapies Volume 21, Issue 1, January 2017, Pages 41–47

目 的

本研究は、トレーニング前に行うキネシオテーピング or ストレッチング(PNF・スタティック)が、ノルディックハムストリングエクササイズ後のハムストリングスの筋肉痛と柔軟性に対する効果を検討することを目的とした。

 

方 法

被験者および実験手順

以下の4グループが設定された。

  • PNF群(15名)19.20±1.01歳
  • スタティック群(16名)19.37±1.14歳
  • キネシオテープ群(17名)19.41±0.87歳
  • コントロール群(17名)19.17±0.95歳

 

実験手順は以下の通り。

  1. 測定:エクササイズ前(=ベースライン)
  2. トレーニング直前にストレッチング or キネシオテーピングの実施
  3. ノルディックハムストリングエクササイズの実施
  4. 測定:エクササイズ24時間後
  5. 測定:エクササイズ48時間後

測定はハムストリングスの筋肉痛と柔軟性を評価。

筋肉痛の評価

筋肉痛は圧力計を用いて計測した。膝の裏側から10cm上方の内側と外側の2箇所にペンで印をつけ、Baseline・24 h・48 hの測定が同一箇所を測定できるようにした。皮膚に対して垂直に圧力計を押し当て、徐々に強さを増していき、被験者が痛みや不快感を感じたら自己申告し、その値を記録した。測定は利き脚(ボール蹴る脚と定義)とした。

柔軟性

柔軟性は他動的なSLRテストで評価した。測定にはデジタル傾斜計を用いた。利き脚の脛骨遠位部に傾斜計をストラップで固定し、膝関節伸展位にて検者の手によって股関節の屈曲を行った。反対側の脚が浮いてくるのを防ぐために、もう一人の検者が脚を押さえて固定した。被験者の膝関節が代償運動により屈曲した角度を記録した。

スタティックストレッチング

膝伸展位でのハムストリングスのパートナーストレッチングを30秒×5回実施した。

PNFストレッチング

検者の手によって最大までハムストリングスを伸張させたポジションで、被験者はハムストリングスの10 秒間のアイソメトリック収縮のあと5秒間の脱力を行った。続いて、被験者自身による大腿四頭筋の収縮と検者の手によって新たな最終可動域まで動かし、10秒間ホールドした。この手順を3回行った。

キネシオテーピング

ハムストリングスの起始から停止に向けて「Y形」で貼り付けた。始点は坐骨結節上の皮膚、そこから脛骨の内側上顆および外側上顆を終点としたY形である。

ノルディックハムストリングエクササイズ

8回×5セット、セット間レスト2分にて実施した。

 

結 果

結果は以下のとおり。*筋肉痛に関しては「圧力計で徐々に圧を加えていき、痛みが出たところでストップ」という条件だったため、数値が低い方が痛みの閾値が低い=より強い筋肉痛が生じている、と考える。
柔軟性に関して、すべてのグループのすべての測定間において有意な差はみられなかった。

筋肉痛に関しては、Baselineと比較して有意な差があったのは、「ハムストリングス内側 PNF群の24 h」「ハムストリングス外側 Control群の48 h」であった。

(つまり、トレーニング前と比較して、コントロール群の48時間後のハムストリングス外側の主観的な痛みは統計学的有意に増していたということ。その他の介入群において、統計学的有意に痛みが増していないということは、何もしていなかったら(=コントロール群)痛くなっていたであろうところ、介入することで痛みの発生を緩和することができた、と解釈する)

なお、すべての測定結果において、介入群とコントロール群の間には有意な差は無かった。

 

考 察

本研究の結果は、キネシオテーピング、PNF・スタティックストレッチングが、Baselineと比較して、トレーニング48時間後のハムストリングス外側の筋肉痛を軽減することを示した。 しかし、介入群はコントロール群と比較して運動後の回復に貢献したことを示す結果は得られなかった。また、 PNFストレッチングは、Baselineからトレーニング24時間後のハムストリングスの内側の筋肉痛を緩和しなかった。

また、キネシオテーピングやPNF・スタティックストレッチングをエクササイズ前に実施していたとしても、エキセントリックエクササイズの24時間~48時間の回復期におけるハムストリングスの柔軟性は、コントロール群と変わらず低下した。

以上のことから、キネシオテーピングやPNF・スタティックストレッチングをエクササイズ前に実施することは、エクササイズ後の柔軟性の低下を防ぐ効果はないが、筋肉痛を軽減する可能性は考えられる

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個人的感想

本研究における筋肉痛の測定で「被験者が痛みを感じたら申告する」というのは、あくまでも主観的な指標です。プラセボ効果が影響した可能性もありますし、生理学的マーカーの変化を調べていないので客観的なデータはありません。しかし、一般の方を対象にしている場合は、主観的であろうと、とにかく痛みの軽減が達成できれば、それはそれで有益なことかもしれません
実験方法に関して、柔軟性の測定は徒手でのSLRテストが用いられていますが、非測定側の脚を一人の検者が固定し、もう一人の検者が測定する脚を持って股関節の屈曲を行うというのは、正確性という点で劣ります。そのことを考えると、柔軟性の結果に関してはあまり信頼できない気もします。

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