ジャーナル(学術雑誌)のインパクトファクター(Impact Factor : IF)について簡潔にまとめます。
インパクトファクター = 学術雑誌の影響力を示すもの
インパクトファクターは簡単に言えば、学術雑誌の影響力を数値化したものです。誤解しないように注意が必要なのは、個々の論文にインパクトファクターがついているわけでもなく、研究者個人の影響力を示すものでもないということです。
どのように算出されるか?
インパクトファクターは論文の引用数により算出されます。
この算出方法を見てもらうとわかるように、2016年のインパクトファクターの算出には2016年の引用回数が必要になるので、そのときの前年のインパクトファクターが最新ということになります。
分野間の比較は不適切
分野の異なる学術雑誌間でインパクトファクターを比較することはナンセンスとされています。
なぜなら、研究が活発な分野は、それだけ研究者も多く、引用数が多くなりやすい(=インパクトファクターが高くなる)からです。
分野によって基準となるラインが違う、ということです。
インパクトファクターの問題
ホットペーパーの存在
少数のホットペーパー*の存在が、掲載雑誌のインパクトファクターを押し上げている可能性があります。そのため、全体的にみると掲載論文の引用回数が少ないにも関わらず、ホットペーパーのおかげで高いインパクトファクターが出されることもあります。
総説やレビュー論文が引用されやすい
論文の性格上、レビュー論文は原著論文よりも引用されやすい傾向にあります。そのため、レビュー論文の掲載比率の高い雑誌は、必然的にインパクトファクターが高くなることになります。
あくまでも一つの指標
インパクトファクターの高い雑誌に論文が掲載されることは、非常に名誉なことに間違いはないのですが、「インパクトファクターの高い雑誌に掲載された論文=質の高い研究」を保証するわけではありません。
これは、STAP問題を思い出してもらえば明白です。(STAP細胞の論文が掲載された『Nature』はインパクトファクター40.137)
同様に、各論文の被引用数もひとつの目安です。被引用数が多いからと言って、質の高い論文とは限りません。もしかしたら、「問題がある論文」として引用されている可能性もあるからです。しかし、良くも悪くも話題になっている押さえておくべき論文であることに違いはありません。
運動指導者の立場としては、毎日パソコンに張り付いて文献を読み漁るというのは不可能なので、大量にある文献の中から、なるべく優先度の高いものを見つけたいものです。
そのためには何かの基準に従って篩いにかけるのが手っ取り早いです。そのときの一つの目安として、インパクトファクターや被引用数が参考になると思います。
【2018年】スポーツ・健康科学分野のジャーナルインパクトファクターリスト