先日、有料フォントの「AXIS」を購入しました。今後はフォント選びに悩むことなく、ほとんどの資料は「AXIS」を使うことで落ち着きそうですが、これまでは良いフォントを求めて色々と試行錯誤してきました。
結局、個性的なフォントは資料等には向かず、定番の整ったフォントがおすすめという結論にたどり着きました。この記事では、「フォントのことはよく分からない」という方に向けて、「とりあえずこれを使っておけば、外さないだろう」というものを厳選してご紹介します。
フォントの可読性を考慮する
まずフォントを選ぶときに、意識しなければならないのが「可読性」です。これについてはアルファベットの「a」の形が、よく言及されます。
実際の例を見てみます(どちらもフォントサイズ=16 pt)。
下のHelvetica Neueは美しく読みやすい欧文フォントです。上のCentury Gothicは、整然さを欠いており、すでに読みにくく感じますが、本当に問題なのは以下のような状況のときです。
少しぼかしを入れると、「a」と「o」の判別が非常にしにくくなります。プレゼンの時に後方に座っている人には読みづらいかもしれませんし、視力の悪い人だと配布資料のときも認識に時間がかかるかもしれません。これが、可読性が低いフォントということです。
和文フォントにおいても、字面の大きさやフトコロの広さによって、ぱっと見たときの読みやすさに差が生まれます。
太字対応のフォントを選ぶ
フォントには、太字に対応しているものと、そうでないものがあります。太字に対応していないフォントを「Bold(太字)」にすると、「擬似ボールド」という非常に不格好なスタイルになってしまいます。
MSゴシックは太字に対応しておらず、太字に設定しても、それほど太くなりません。
一方、太字対応の游ゴシックは標準とのコントラストが明確です。
フォントは資料全体の印象を変える
上記の2点に注意しながら、美しいフォントを使うことで、スライド全体の印象は変わります。
MSゴシックの例
可読性が低く、太字対応していないMSゴシックのスライド例。全体的に洗練されていないイメージで、太字と標準のコントラストがはっきりしておらず、読みづらい。
游ゴシックの例
可読性が高く、太字対応している游ゴシックのスライド例。フォント自体が美しいため、全体的に洗練されたイメージになり、コントラストがはっきりしているため見やすい。
標準搭載されている和文フォントのおすすめ
最初からインストールされているフォントのうち、とりえあえずこれを使っておけばOKなものをWin/Mac1つずつに絞りました。
Windows
游ゴシック
Windows8.1以上であれば、游ゴシックを使用するのがおすすめです。何らかの事情で游ゴシックが使用できない場合は、「メイリオ」が候補になります。
また、PowerPoint等のプレゼン資料にはゴシック体を使用するのが望ましいですが、文章が長い場合は明朝体の方が読みやすくなります。(スライド形式以外の配布資料も含め)やや長文を扱う場合、見出しは「游ゴシック」、本文は「游明朝体」の組み合わせがおすすめです。
Mac
ヒラギノ角ゴ
Macユーザーは、とりあえずヒラギノ角ゴを選択しておけばOKです。搭載されているフォントが美しいからという理由でMacを使っている人もいるくらいです。ただし、Windowsとの互換性がないので、他人のPC(Win)を使ってプレゼンを行う場合は、大幅にレイアウトが崩れる可能性もあるので注意が必要です。
明朝体を使う場合は、「ヒラギノ明朝」を選択します。
和文フリーフォントのおすすめ
初めから搭載されているフォント以外にも、フリー(無料)フォントをダウンロードして使用するという選択肢もあります。欧文フリーフォントに比べて、和文フリーフォントにはプレゼン・配布資料向けの美しい書体が少ないのですが、ここでは厳選した3種類の和文フリーフォント(+おまけ1種類)を紹介します。
Noto Sans CJK JP
AdobeとGoogleが共同で作成したフォントです。クセが無く読みやすいです。7種類のウエイト(文字の太さ)が揃っていることも魅力です。
M+ FONTS
こちらも有名な和文フリーフォントです。スタイルやウエイトの組み合わせが全部で43種類あり、どれを使えばよいのか分かりづらいですが、こちらの記事にまとめてあるので参考にしてみてください。
参考 美しいフリーフォント M+ FONTS の種類が多すぎてわかりにくいので比較してみた手帳.net若干、丸みを帯びたフォントで、親しみやすい印象にしたいときに役立ちます。
Rounded M+
M+FONTを丸ゴシックに改変したフォントです。丸みの程度は3種類から選べます。標準以下の丸みであれば、カジュアルなスライド資料には使えそうです。全体が柔らかい・優しい印象に仕上がります。
おまけ:スマートフォントUI
コンデンスドスタイル(やや縦長)のフォントです。スッキリとした印象で読みやすく、スタンダードなゴシック体では物足りないときに役立ちます。漢字に対して仮名文字が、少し小さめにデザインされているのも良いところです。ただし、太字未対応なので太字にしようとすると疑似ボールドになってしまう点は注意です。
各フォントの比較
まとめ
トレーナーであっても、おそらく何らかの形でフォントを使って仕事をしているのではないでしょうか。
プレゼンなどの発表に限らず、クライアントに渡すプログラム、チーム内に配布する資料、イベント集客のためのチラシ等、文字で情報を伝えようとする以上、フォントは切っても切れない存在です。
そこに文字がある限り、フォントは私たちの情報伝達の良し悪しに影響を与えます。
有料フォントを購入して、こだわるところまでいかなくても、標準搭載やフリーフォントの美しい書体を使うだけで、資料を見たときの第一印象は変わります。
今後は「なんとなく」で選ぶのではなく、ぜひフォントにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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