デジタル耳栓MM2000レビュー:ノイズキャンセリングヘッドホンと比較|どちらが集中できるか?

デジタル耳栓MM2000

11月9日にキングジムからデジタル耳栓の新作が発売されたので購入してみました。以前からデジタル耳栓は気になっていたのですが、従来品(MM1000)はデザイン面と電池式という点で、購入を見送っていました。

今回はそれらの点が大幅に改良されたMM2000のレビューをしたいと思います。ノイズキャンセリングヘッドホンと通常の耳栓との比較も行います。

デジタル耳栓とは

まず、デジタル耳栓というのは、ノイズキャンセリングを搭載した耳栓のことです。ノイズキャンセリングイヤホンの音楽が聴けないバージョンだと思ってもらえれば分かりやすいかと思います。

電車やカフェなどで読書やデスクワークをするときに、「もう少し周囲の音が小さくなればいいなあ」と思ったことが一度はあると思います。

思い返せば、浪人生のときは普通の耳栓をつけて自習室でずっと勉強をしていました。あのときも、耳栓をつけた方が断然、集中できていたという記憶があります。

デジタル耳せん MM2000

さっそくデジタル耳栓MM2000について、紹介していきます。以下が内容物です。

本体・ウレタンイヤピース(ケース付き)・シリコンイヤピース・USBケーブル・取扱説明書・携帯用ポーチです。

キングジムデジタル耳栓MM2000内容物

従来機種より携帯性・デザイン性が圧倒的に改善

前作のMM1000と比較して、携帯性・デザイン性が圧倒的に良くなっています。

キングジムデジタル耳栓MM2000

絡まりにくいファブリック製のコードを採用。

キングジムデジタル耳栓MM2000

前作は単4電池が必要でしたが、今回はUSB充電式になっており、3時間の充電で最大50時間の連続使用が可能とのことです。

キングジムデジタル耳栓MM2000

電池が不要になった分、劇的にコンパクトになり、デザインも洗練されたものになりました。

また、騒音のカット率もMM1000が90%だったのに対して、MM2000は95%に向上したと発表されています。

実際の使用感

さて、肝心の使用感ですが、結論から言えば満足できるクオリティでした。遮音性については、周囲の音をかなり抑えてくれます。

ただし、公式サイトの説明にもあるように、話し声や突発的な物音まで消す効果は無いので、注意してください。そのため、隣に座っている人のイヤホンからの音漏れは、相手の音が大きいと防げませんでした。

仕事や勉強、読書などで集中したい時、周囲の騒音をさえぎるために耳せんを使用することがあります。しかし、従来の耳せんでは呼びかけ声やアナウンス、着信音など、周囲の必要な音まで遮音されてしまうという声がありました。
「デジタル耳せん」は、ノイズキャンセリング技術によって、主に乗り物内の騒音やエアコンの空調音など300 Hz以下の騒音をカットする一方で、人の呼びかけ声やアナウンスなどは聞き取ることができる、新しいタイプの耳せんです。

本体とケーブルが一体型になり、スペックアップした新モデル「環境騒音」だけを約95%※1カットする「デジタル耳せん」MM2000発売

なお、大阪の幹線道路・新御堂筋沿いで使用してみましたが、車の騒音などをかなり抑えてくれました。また、スターバックスでの使用では、人の話し声を打ち消すことはできないものの、装着しない場合よりも圧倒的に集中できる環境になりました。

タッチノイズはSHURE掛けで解決

周囲の騒音が軽減された分、コードが服などと擦れて「ガサゴソ」という音が聞こえるタッチノイズが気になるようになります。

これに関してはいくつか対策がありますが、個人的に最もおすすめするのは、コードを耳に掛けて装着する「SHURE掛け」です。これでタッチノイズはほぼ無くなります。

SHURE掛け

他の製品との比較

ノイズキャンセリングヘッドホン

デジタル耳栓MM2000が発売される前に、ノイズ対策として、こちらのヘッドホンを購入していました。SONYのノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM3です。

 

ソニーのノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM3

2018年10月に発売したばかりの機種です。ノイズキャンセリングのパフォーマンスは業界最高クラスとのこと。周囲の音を消すということに関しては、やはり物理的に耳を覆うということもあり、デジタル耳栓よりもこちらが上です。

さらに、これを着けてホワイトノイズを流せば、外の音はほぼシャットアウトされます(ノイズをキャンセリングしておきながら、自分でノイズを流すという意味の分からない感じではありますが…)。完全に自分の世界に入り込みたいという方には良い選択だと思います。

ヘッドホンの難点としては、長時間付けていると少なからず耳が痛くなるという点と、携帯性で劣るという点です。

ちなみに、ホワイトノイズは色々な種類があるので、自分の好みのものを探すと良いです。一応、私のお気に入りを2つシェアしておきます。

ホワイトノイズは部屋で過ごしているときや、寝るときにもスピーカーで流すことが多いです。なんとなく落ち着きます。

ただし、2018年10月に発表された論文*1では、耳鳴りの治療法としてホワイトノイズを使用することに対して、長期的にみると脳に悪影響があるかもしれないことが指摘されています。

が、私は気にせず聴き続けます。

*1 Attarha, M, Bigelow, J, and Merzenich, MM. Unintended Consequences of White Noise Therapy for Tinnitus—Otolaryngology’s Cobra Effect. JAMA Otolaryngol Neck Surg 144: 938, 2018.

睡眠専用耳栓:MASKING SLEEPBUDS

こちらはBOSEが発売した睡眠時用のワイヤレスイヤホンです。ノイズキャンセリングではなく、ノイズマスキングを採用しており、ホワイトノイズやヒーリングサウンドを流すことで周囲の音をマスキングするという仕組みです。簡単に言うと、周囲のノイズを耳元のノイズでかき消すというような力業ということになります。

BOSEがデジタル耳栓を出すということで非常に気になり、発売後すぐに試しに行きましたが、「デスクワークに集中するため」という用途にはマッチしないと判断して、購入を見送った商品です。

所有欲を刺激するデザインなだけに残念。

耳栓

耳栓

普通の耳栓も購入しました。しかし、こちらは遮音性が全くでした。外出時の騒音に対しては、気休め程度の効果しかありません。

これは私が購入した種類が悪かったようで、MOLDEXのウレタンフォーム使い捨て耳栓は遮音性が高く人気のようです。

メリットは、何といってもかさ張らなくて携帯性が抜群ということです。

まとめ

デジタル耳せんMM2000は、長時間装着していても重さを感じることもなく、現時点ではベストな選択かと思います。耳につけて、スイッチをONにするだけという手軽さが良いです。価格も、前作より値上がりしたとはいえ、1万円以内で手に入ります。

ノイズキャンセリングヘッドホンは、遮音性という点で優れているものの、難点は重さがあるということと、パフォーマンスの高いハイエンドモデルは高価格になってしまうという点です(さきほどのSONYのWH-1000XM3は4万円ほどします)。

現在すでに、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを持っているという方は、音楽を流さずにノイズキャンセリング機能だけをONにすることで(それができる機種であることが前提)、同じような使い方もできると思います。ホワイトノイズも試してみてください。

まとめると、デジタル耳栓は以下の方におすすめです。

  • 手軽な使用感が良い(接続などが不要)
  • 持ち運びに便利なコンパクトなデザインが良い
  • 音楽は聴けなくても構わない
  • 高い遮音性を求めている
  • 多少の話し声が聞こえるのは気にならない

個人的には、満足のいく買い物でした。デスクワークの環境をより良いものにしたいという方は、耳栓の導入を検討してみることをおすすめします。