DeepL

圧倒的に読みやすい日本語訳

DeepL翻訳は、ドイツの企業により提供されているディープラーニングを用いた人工知能による翻訳システムです。

DeepL画面

サービス自体は2017年から提供されており、2020年3月19日に日本語にも対応しました。

翻訳ツールといえば、Google翻訳を使っている方が多いと思いますが、こちらのDeepL翻訳はGoogle翻訳の精度を上回ると注目されています。

この記事では、DeepL翻訳が運動指導者向けにおすすめできるかどうかを検証していきます。

結論から言うと、私はGoogle翻訳からDeepL翻訳に乗り換えました

DeepL翻訳の方が、圧倒的に読みやすい日本語訳を提供してくれます。

それでは、実際にいくつかの英文を使って、DeepL翻訳とGoogle翻訳の訳文を比較していきます。

日本語訳の比較結果

英語論文での比較

まずは英語論文から検証してみます。

2019年に発表された論文「BJ Schoenfeld et al. Resistance Training Volume Enhances Muscle Hypertrophy but Not Strength in Trained Men. Med Sci Sports Exerc. 2019 Jan; 51(1): 94–103.」から一部を抜粋します。

こちらの論文はオープンアクセスですので、誰でも無料で全文を読むことができます。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6303131/

原文

However, the analysis was only able to determine dose–response effects up to 10 total weekly sets per muscle group due to the paucity of research on higher-volume RT programs. Thus, it remains unclear whether training with even higher volumes would continue to enhance hypertrophic adaptations and, if so, at what point these results would plateau.

DeepL翻訳

しかし、この分析では、より大容量のRTプログラムに関する研究が少ないため、筋群ごとに週10セットまでの用量反応効果しか確認できませんでした。そのため、それ以上の量のトレーニングを行うことで肥大適応が継続的に強化されるかどうか、また、強化されるとしたらどの時点でこの結果がプラトーになるのかは不明である。

Google翻訳

ただし、より大量のRTプログラムに関する研究が不足しているため、この分析では、筋肉群あたり週あたり最大10セットまでの用量反応効果しか決定できませんでした。したがって、さらに大量のトレーニングが肥大適応を強化し続けるかどうか、もしそうなら、これらの結果がどの時点でプラトーになるかは不明のままです。

Googleの方は、「筋肉群あたり週あたり最大10セット」など、全体的にぎこちない日本語が目立ちます。

DeepLの方は直感的に読みやすい文章だと感じます。とくに感動したのは「継続的に強化されるかどうか、また、強化されるとしたらどの時点でこの結果がプラトーになるのかは不明である。」の部分です。

ひとつの文が長くなると機械翻訳は弱い傾向にありますが、この訳文は読みやすいですし、「if so」を「強化されるとしたら」と訳したことにも驚きました。

この点、Googleは「もしそうなら」とそのまま日本語に置き換えるだけとなっています。

 

英語の記事での比較

つぎは、海外サイトに掲載されている記事で検証します。

STRONGER BY SCIENCEの「How to Squat」から一部を抜粋します。

原文

The next issue is finding your stance width.

There are two main considerations here: comfort and carryover.

Comfort

No need to complicate this. Simply play around with your stance width and see what feels the best for you. You can do this unweighted if you’re new to squatting, or with a reasonably heavy but not overly challenging load (think 70-80% of your 1rm) if you’re more experienced, but think you may want to change your squat stance. Just start around shoulder width and squat down. See how that feels. Then try an inch or two narrower. Then an inch or two wider. Try to drive your knees out versus letting them track straight ahead and see what feels the strongest and most comfortable. Let your body tell you how to squat. See how deep you can squat with each stance width without your back rounding, and see how stable and comfortable you feel in each position. Stick with the one that gives you the best combination of depth and comfort.

DeepL翻訳

次の問題は、自分のスタンス幅を見つけることです。

ここでは、快適性とキャリーオーバーという2つの点を考慮する必要があります。

快適性

これを複雑にする必要はありません。 自分のスタンス幅で遊んでみて、何が一番自分に合っていると感じるかを確認してみてください。 スクワットに慣れていない人はアンウエイトでもできますし、経験豊富な人は適度な重さの負荷(1rmの70~80%と考えてください)でもできますが、スクワットのスタンスを変えてみたいと思ったときには、スクワットのスタンスを変えてみましょう。 肩幅くらいから始めて、下に向かってスクワットしてみましょう。 それがどのように感じるかを見てください。 次に、1~2インチ狭くしてみてください。 次に1、2インチ幅を狭くしてみます。 膝をまっすぐ前に出すのではなく、膝を前に出すようにしてみて、何が最も強く、最も快適に感じるかを見てみましょう。 どのようにスクワットするかは、あなたの体に教えてもらいましょう。 背中を丸めずに、それぞれのスタンス幅でどれだけ深くしゃがむことができるか、それぞれのポジションでどれだけ安定していて快適に感じるかを見てみましょう。 深さと快適さの最高の組み合わせを提供してくれるものにこだわってみてください。

Google翻訳

次の問題は、スタンスの幅を見つけることです。

ここでは、快適性とキャリーオーバーという2つの主な考慮事項があります。

快適さ

これを複雑にする必要はありません。 スタンスの幅を試してみて、自分に最も適したものを確認してください。 スクワットが初めての場合、または経験が豊富な場合はかなり重いが過負荷ではない(1rmの70〜80%と考えます)場合は、ウェイトなしでこれを実行できますが、スクワットのスタンスを変更することをお勧めします。 。 肩幅あたりから始めて、しゃがみます。 その感じを見てください。 次に、1〜2インチ狭くしてみます。 次に、1インチまたは2インチ広い。 膝を伸ばして直進させるのではなく、最強で最も快適なものを確認してください。 しゃがみ方を体に教えてもらいましょう。 背中を丸めずに、各スタンスの幅でしゃがむ深さを確認し、各ポジションで安定感と快適さを確認します。 奥行きと快適さの最高の組み合わせを提供するものを使います。

こちらもDeepLの方が読みやすい訳文ではありますが、さきほどと比べややぎこちなさを感じる日本語となりました。

そして、お気づきかと思いますが、DeepLはこの箇所で致命的なミスを犯しています。

Then try an inch or two narrower. Then an inch or two wider.」を「次に、1~2インチ狭くしてみてください。 次に1、2インチ幅を狭くしてみます。」と訳してしまっています。

なぜそうなったのか分かりませんが「wider」が真逆の意味で出されているので、ここは重大なミスリードを招きかねない大きな欠点と言えます。

Google翻訳に関しては、一部で完全に日本語が崩壊しており、使い物にならない状況も見受けられます。

たとえば、「スクワットが初めての場合、または経験が豊富な場合はかなり重いが過負荷ではない(1rmの70〜80%と考えます)場合は、ウェイトなしでこれを実行できますが、スクワットのスタンスを変更することをお勧めします。 。の箇所では、「~場合」が3連続で出てきます。さらに最後を句点2個づかい「。。」で締めており、精度の不完全さを露呈しています。

(もし、「。。」を使うことで筆者が「すこし控えめにお勧めしている」様子を表現しているのだとしたら、極めて人間的な訳文であり、それは機械を超越した翻訳レベルと評価することができるかもしれません。。)

まとめ

DeepL翻訳の訳文の自然さは評判どおりでした。

DeepL翻訳を使えばGoogle翻訳よりもストレスなく読めるはずです。ただし、一部致命的なミスを犯す可能性も確認されたので、そこはこちら側が注意して読む必要がありそうです

単語を逆の意味で訳してしまうほどの明らかな誤りがあった場合も、基本的には、ある程度の専門的な知識を備えていれば、気づくことができるはずです。

このあたりの精度は今後、改善されていくはずなので、DeepLの成長に期待しましょう。

DeepL翻訳のおかげで、英文の内容を把握することのハードルが一段と下がりましたが、あとはその内容を適切に解釈する人間側の能力が必要ということになります。

翻訳ツールが発展し、どれだけ読みやすい日本語になったとしても、その解釈を誤ってしまえば何の意味もありません。

とくに研究論文を解釈する力は感覚だけでは身につかないので、書籍やセミナー等で最低限の知識を学ぶことをおすすめします。

手持ちの書籍をいくつか紹介します。

書籍紹介

左の3冊は、「研究論文とはどういうもので、どのように向き合えばよいのか」を知るために、取り組みやすい内容かと思います。

さらに深く学習したいという方は一番右の『医学文献ユーザーズガイド』がよいと思いますが、この分野の語句などに慣れていないと難解です。

それぞれ皆さまの活動するフィールドによって、どれを選べばよいかは変わってくると思いますので、一度、書店で中身を確認し、自分に合いそうだと思ったものを購入されることをおすすめします。