以前、告知していた通り2017年11月12日(日)にFITNESS JOURNAL CLUBを開催しました。
FITNESS JOURNAL CLUB開催のお知らせ運動指導者で集まって、英語論文の内容についてディスカッションしましょうという初めての試みです。
近年の傾向として、運動指導者においても科学的根拠に基づいた実践(Evidence-Based Practice)が求められるようになってきています。
それに伴って、少しずつではありますが、S&Cコーチやパーソナルトレーナーにおいても、学術論文から情報収集することの大切さが認知されてきているように思います。
英語論文を解釈するまでの壁
英語論文を読むには、まず「英語の壁」があり、それを乗り越えた先には「論文の内容を正しく解釈し、現場に応用する」という壁がそびえ立っています。独学でこれらを乗り越えていくことは容易ではありません。
英語の壁は、翻訳ソフトを使ったりして、時間をかければ乗り越えられるかもしれませんが、批判的思考を持ちつつ論文の内容を理解するという力は、独りで育むには大変な苦労を要すると思います。
意見交換は理解の深化を助けてくれる
同じ論文を読んで他の人が「どのように感じたのか」「どのように解釈し、活用できると考えたのか」を知るのは、論文を理解する力を深めることに大きく貢献してくれるはずです。
しかし、大学院などに行かない限りは、そのようなディスカッションの機会を得ることは難しいという現状があります。私自身、大学院を出てからは、そういった環境を探していましたし、無いなら「自分で勉強会を企画できたら面白いなあ」ということを漠然と考えていました。
そして今回、有難いことに縁があって、このような集まりを実現することができました。
抄読会という勉強の形
FITNESS JOURNAL CLUBでは、大学の研究室等で行われる抄読会(ショウドクカイ)の形式から少しアレンジを加えました。
議題となる英語論文をあらかじめ共有し、参加者全員がその内容を把握した状態で当日を迎えるという形式です。
今回、議題とした論文は以下の2つです。
いずれも、運動指導者にとっては関わりのある論文だと思います。
ディスカッションの内容としては、各論文を読んで「その情報を自分の現場にどのように活用することができるか」や、「自分のトレーニングを通して感覚的に感じていたことと、論文の内容との差異」といったことについての意見交換から始まり、研究で用いられていた測定方法の妥当性や信頼性についてのコメントも出ました。
アウトプット、そして他人の意見を聞くなかで、論文の理解がさらに一歩深まったと感じました。
複数人あつまることで,話に発展性が生まれる
また、今回は論文の内容から発展して、「『1RM test』と『maximal isometric contraction』の両方ともが、『筋力』の指標として扱われているものの、それぞれが真に表すものは必ずしもイコールではない」ということについても話が及びました。
それに関する詳しい説明は、Greg Nuckolsが書いた記事を、AthleteBody.jpが翻訳して日本語で掲載してくれています。『スキルの向上』の箇所(記事中盤)を参照ください。
参考 筋量 vs 筋力AthleteBody.jp複数人で意見を出し合うことによって、1人で論文を読んでいた時には得られなかった話の広がりが生まれたことは、やはり勉強会をおこなうメリットだと実感しました。
同じ業界であっても、皆が異なる環境で仕事をしているため、それぞれの視点での意見を共有することができ、非常に有意義な時間となりました。
Acknowledgements
本企画の立案から当日の運営まで全面的に協力していただいたAthleteBody.jpの八百さん、そして、見慣れない未知の企画にも関わらず申込をしていただいた参加者の方々、SNS等で企画についてシェアしていただいた皆様、本当にありがとうございました。
今後も不定期でFITNESS JOURNAL CLUBを開催する予定です。本企画に興味を持っていただけた方は、次回の開催時期等、お気軽にお問い合せください。